買いやすい値段の心理とは?顧客が納得する価格設定の基本と実践法

買いやすい値段の心理とは?顧客が納得する価格設定の基本と実践法
買いやすい値段の心理とは?顧客が納得する価格設定の基本と実践法

本記事では、顧客が「買いやすいと感じる価格の作り方」を、心理学の観点から解説。価格の数値設定から見せ方の工夫、検証方法まで、実務で使える具体的な手法をお伝えします。
顧客が「この価格なら妥当だ」「この価格ならお得だ」と納得できるポイントを見極め、自社のビジネスに活かすヒントとしてお役立てください。

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そもそも買いやすい値段はどう決まる?

そもそも買いやすい値段はどう決まる?

あなたがコンビニで120円の缶コーヒーを見たとき「高い」と感じるでしょうか、それとも「妥当」と感じるでしょうか。多くの人は「缶コーヒーならこのくらいが普通」と判断するはずです。では、同じ120円でも高級チョコレートだったらどうでしょう。今度は「お得だ」と感じるかもしれません。

このように、買いやすい値段は金額そのものではなく、顧客の頭の中にある参照価格(リファレンスプライス)によって決まります。
私たちは過去の経験や目の前の情報から作られる比較基準と比べて、高いか安いかを判断しています。つまり、価格戦略では顧客の参照価格を理解することが不可欠です。

内的参照価格と外的参照価格

参照価格(リファレンスプライス)は、内的参照価格と外的参照価格の2種類にわかれます。内的参照価格とは、過去の購買経験や記憶に基づく基準のことです。

  • 缶コーヒーは120円前後で買える
  • ランチは1,000円以内で済ませられる
  • スマートフォンは10万円前後で買える

内的参照価格は個人の経験によって形成されるため、人によって若干の差があります。

一方、外的参照価格とは店頭のチラシやWebサイトでの「メーカー希望小売価格」や「他社製品の価格」など、外部から与えられる比較対象のことです。
例えば、ECサイトで「通常価格9,800円→いまだけ6,800円」と表示されていたとします。この9,800円が外的参照価格となり、6,800円が相対的にお得だと感じられるわけです。
つまり、外的参照価格は販売側が意図的に設定できる基準です。

買いやすいは、単に安いことではない

買いやすい値段を設計するには、顧客の参照価格を分析し、その基準に対して自社商品をどう位置づけるか(ポジショニング)を設計することが求められます。ただし注意すべきは、価格は品質の証明としての側面も持つという点です。参照価格に対してあまりに安すぎると、次のような不信感を生み、逆に購入を遠ざけるリスクがあります。

  • なぜこんなに安いのか
  • 品質に問題があるのではないか
  • サポートが不十分なのではないか

実際、極端な低価格は「品質への疑念」を生み、購買意欲を下げるという研究結果が出ています。買いやすさとは単純な安さではなく、顧客が納得できる適正価格を示すことです。顧客の参照価格を理解し「この価格なら妥当だ」「この価格ならお得だ」と感じてもらえるポイントを見極めることが重要です。

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数値設定で購買心理を動かす3つのテクニック

数値設定で購買心理を動かす3つのテクニック

次は、具体的な価格の「数値設定」によって購買心理を動かすテクニックを3つ紹介します。それぞれの心理メカニズムと、ビジネスでの活用法を詳しく見ていきましょう。

テクニック1.左桁効果(端数価格)|1,980円が「安さ」を強調する

1,980円や9,800円のように、あえてキリの悪い数字にする価格設定を「端数価格(チャームプライス)」と呼びます。なぜ2,000円ではなく1,980円にするのか。それは、左桁効果(Left digit effect)という心理現象が働くためです。
人間は数字を左から右へ順番に処理するため、一番左の桁が変わることで、実際の価格差以上に大きな違いを感じます。

【左桁効果の例】

  • 2,000円 → 2,000円台と認識
  • 1,980円 → 1,000円台と認識

この手法は、価格の安さや手軽さを訴求したい商品・サービスで特に有効です。例えば、飲食店のランチメニューを「1,000円」ではなく「980円」にすれば、わずか20円の差でも「900円台」という印象になり、心理的なハードルを下げられます。

ただし、高級ブランドや専門性の高いサービスでは逆効果となるケースもあります。端数価格は安売りの印象を与え、ブランド価値を損なう恐れがあるためです。
品質や信頼が重視される商材では、キリの良い数字(ラウンド価格)を採用するほうが、ステータスや品質を訴求できます。

テクニック2.松竹梅の法則(妥協効果)|売りたい商品へ誘導する

3段階の選択肢を提示されると、人間は無意識にリスクを避け、真ん中を選ぼうとする傾向があります。これを行動経済学では「極端回避性(妥協効果)」といい、日本では「松竹梅の法則」とも呼ばれています。

  • 松(高価格・高機能):高価格なため失敗したときの損失が怖い
  • 竹(中価格・標準):標準的で最も安心感がある
  • 梅(低価格・最低限):安すぎて品質や機能に不安がある

ビジネスでは、最も販売したい商品を「竹(真ん中)」に設定することが多いです。そのうえで、比較対象としての「松(上位)」を用意することで、真ん中の商品のコストパフォーマンスを際立たせられます。

飲食店のコース料理で考えてみましょう。

  • 松:特選コース(5,000円)
  • 竹:おすすめコース(3,500円)
  • 梅:お手軽コース(2,500円)

「5,000円のコースほど高くない」「2,500円のコースより満足度が高そう」という心理が働き、3,500円のおすすめコースが選ばれやすくなります。
松竹梅の法則は、サブスクの料金プラン(プレミアム/スタンダード/ベーシック)や、美容院のメニューなど、あらゆる業界で活用できる手法です。

テクニック3.名声価格(プレステージプライシング)|価格を品質の証明にする

あえて価格を高く設定することで、製品の品質やステータスの高さを訴求する手法を「名声価格」と呼びます。
特に、専門的なサービスや商材において、価格は品質を判断する重要な手がかりです。顧客が中身の判断を自分でできない際、高い価格は「この商品・サービスには価値がある」という安心感を与えます。

名声価格は、品質やステータスが購入の決め手となる商品・サービスで特に有効です。
例えば、高級ブランドのバッグや時計は、価格そのものが品質とステータスを表しています。また、プレミアムホテルでは、高価格が「特別な体験」や「非日常のサービス」を保証する目印となります。

ただし、名声価格を採用する際は、実績、顧客の声、専門家の推薦などを併記し、高価格に見合う価値を示すことが重要です。価格だけが高くて根拠がなければ、単なる割高な商品と見なされてしまいます。

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見せ方の工夫で納得感を高める3つのテクニック

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価格の数値そのものだけでなく「どう見せるか」という提示方法も、購買心理に大きな影響を与えます。ここでは、見せ方の工夫によって顧客の納得感を高める3つのテクニックを解説します。

テクニック1.アンカリング効果|提示順序で比較基準を操作する

アンカリング効果とは、最初に提示された数字が判断の基準(アンカー)となり、その後の評価に影響を与える心理現象のことです。
料金表を見たとき、最初に目に入った価格が「この商品はこのくらいの価格帯なんだ」という認識を作ります。その後に見る価格は、最初の価格と比較して「高い」「安い」と判断されます。

【アンカリング効果の活用例】

  • 商品説明の順番:最初に高額プランを提示してから、基本プランを案内する
  • 価格交渉:最初に高めの見積もりを提示し、その後に本命の価格を提案する
  • ECサイトの商品一覧:価格の高い順に並べ、標準価格帯の商品を手頃に見せる

ただし高額商品には、その価格に見合う実績やお客様の声などを併記し、比較対象として妥当であることを示すことが重要です。根拠のない高額設定は、かえって信頼を損ねるリスクがあるため注意しましょう。

テクニック2.フレーミング効果|単位変換による支払いの痛みを軽減する

「フレーミング効果」とは、同じ金額でも「年間12万円」と「月額1万円」では受ける印象が変わるように、数字の見せ方次第で心理的なハードルが変化する現象のことです。
例えば、年間契約12万円のサービスを「月額1万円」や「1日あたり約330円」と換算して伝えると、導入の心理的ハードルを下げられます。

この手法は、得られるメリットに対してコストが小さいと認識させるために有効です。特に、高額な年間契約や継続課金型のサービスにおいて、単位を小さく見せることで顧客の支払いの痛みを軽減できます。

【フレーミング効果の活用例】

  • 年間契約12万円 →「月額1万円」または「1日あたり約330円」
  • フィットネスジム年会費10万円 → 1日あたり約270円で健康管理
  • サブスク年額1万2,000円 → 月額1,000円で使い放題

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テクニック3.割引表示の効果|円引きと%OFFを使い分ける

割引を表示する際は、消費者が直感的に「お得だ」と判断できる形式を選ぶことが重要です。割引の見せ方には「円引き」と「%OFF」の2つがあり、商品のカテゴリや価格帯によって効果的な方法が異なります。
高額商品ほど割引率で見せたほうがインパクトが大きく、逆に低価格商品は金額で見せたほうが具体的でわかりやすくなります

【割引表示の効果の活用例】

  • ブランドバッグ10万円 → 20%OFF(2万円の値引きよりもインパクトが大きい)
  • 家電製品5万円 → 30%OFF(15,000円の値引きよりもインパクトが大きい)
  • 日用品1,000円 → 500円引き(50%OFFよりも具体的でわかりやすい)

また、割引前後の価格を並べて表示し、期間限定などの割引の根拠を明記することで、消費者の不安を払拭し、信頼感を高められます。

下記の記事では、顧客の「購買行動とは何か」という基本から、購買行動モデルをマーケティングに活かすステップまで解説していますので、あわせてご覧ください。

購買行動とは?時代別にみるモデル11選とマーケティングへの活用法を解説

価格戦略におけるリスク管理と検証プロセス

価格戦略におけるリスク管理と検証プロセス

心理効果を活用した価格戦略は適切なリスク管理と検証が不可欠です。ここでは、価格戦略を実行する際に押さえておくべき3つのポイントを解説します。

認知負荷の低減|迷わせないことが買いやすさに直結する

人間は選択肢が多すぎると、選ぶストレスから購入そのものを諦めてしまう「決定回避の法則」が働きます。どれだけ魅力的な価格設定をしても、選択肢が多すぎて顧客が迷ってしまえば、購入には至りません。選択の回避を防ぐためには、選択肢を3〜4個に絞り、各プランの差を明確にしましょう。
「どれを選べばいいのか」が直感的にわかる設計にすることで、顧客の認知負荷を下げ、購入への流れがスムーズになります。

売上を伸ばす具体的アイデアが知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

売上を伸ばす具体的アイデア12選!成果につながるヒントを紹介

ABテストによる検証|データに基づき利益を最大化する

価格施策の効果を正確に把握するには、ABテストによる検証が有効です。ABテストとは、2つの異なるパターンを用意し、どちらがより良い結果を生むかを比較検証する手法です。
価格戦略においては、次のようなパターンを比較できます。

  • 端数価格(1,980円) vs 切りの良い価格(2,000円)
  • 3プラン構成 vs 4プラン構成
  • 割引表示(●●円引き vs ●%OFF)

検証する際は、成約率だけでなく、粗利総額、LTV(顧客生涯価値)、リピート率といった指標にも注目しましょう。価格を下げれば一時的にコンバージョン率は上がりますが、利益率の低下や、価格重視の顧客層が増えることで長期的な収益性が損なわれるケースもあります。複数の指標を総合的に見て、利益を最大化する価格設定を見つけましょう。

売上を上げるための「KPI(重要業績評価指標)」として設定されることが多い指標の一つに、購入率があります。下記の記事では、計算方法や購入率を上げる施策などを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

購入率とは?計算方法、業界平均、購入率を上げる施策などをまとめて解説

コンプライアンスの遵守|信頼を損なわない誠実な表示をする

心理効果は、あくまで商品の正当な価値を伝えるための手段です。二重価格表示(通常価格と割引価格の併記)をする際は、景品表示法のガイドラインに則り、比較対象となる通常価格に一定の販売実績があることを確認しましょう。
事実に反してお得感を過度に強調する有利誤認は、企業の信用失墜に直結します。透明性を保ち、割引の根拠(期間限定など)を明示することが、長期的なブランド構築につながります。

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心理学を味方につけて「買いやすい」と感じてもらう値段を設計しよう

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買いやすい値段とは、単に金額が低いことではなく顧客がその価格に対して「妥当だ」「お得だ」と納得できる状態を指します。安易な値下げは、一時的な売上にはつながっても、長期的な利益減やブランド価値の低下を招くリスクがあります。心理的価格設定は、商品の価値を顧客に正しく届けるための実践的なアプローチとして活用しましょう。

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