キャッシュバックは景表法の対象になる?企業が押さえるべき3つのポイント
キャッシュバックは多くの企業が行うプロモーション手法ですが、景表法(景品表示法)に基づく景品規制を理解していないと、思わぬ法令違反につながるリスクがあります。
そこで本記事では、景表法とキャッシュバックの関係や適法性を保つためのポイントなどを解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
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※本記事は、景品表示法に関する法律相談の実績が豊富な「森大輔法律事務所」が監修しています。
目次
- 景表法とキャッシュバックの関係 そもそも景表法(景品表示法)とは キャッシュバックと「景品類」の関係 キャッシュバックが値引きにあたる場合、景表法の景品規制は適用されない
- 景表法に関係するキャッシュバックの3つの種類 種類1.一般懸賞の方法で提供するキャッシュバック 種類2.共同懸賞の方法で提供するキャッシュバック 種類3.総付景品の方法で提供するキャッシュバック
- キャッシュバックの適法性を保つための3つのポイント ポイント1.応募条件を明確化して不当表示を防ぐ ポイント2.現金以外のキャッシュバックは扱いに注意する ポイント3.景品規制の限度額を守る
- キャッシュバックキャンペーンで法令遵守を実現する方法 方法1.キャッシュバック事務局代行の利用 方法2.法律相談サービスの活用
- 景表法に違反した場合の罰則
- 景表法を順守してキャッシュバックキャンペーンを成功させよう
景表法とキャッシュバックの関係
景表法は、消費者が正しい選択をできるようにするために設けられた法律です。商品やサービスの購入に付随する「景品類」の提供を規制しています。
キャッシュバックもこの景品類に該当する場合があることから、慎重な取り扱いが求められます。企業がキャッシュバックキャンペーンを行う場合、知らないでは済まされません。
ここでは、下記の内容について詳しく解説します。
そもそも景表法(景品表示法)とは
景表法(景品表示法)は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限する法律です。この法律は、企業が不当に一般消費者を引きつけ、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を制限及び禁止することを目的とします。このように、景表法の目的は不正な顧客誘引を防ぎ、一般消費者の利益を保護することです。
景表法では、キャンペーンにおける景品類の定義とその提供に関するルールを明確にしています。景品類とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引(不動産に関する取引を含む。)に付随して、取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するものをいいます。
下記の記事では、景品表示法の目的や定義・上限金額について紹介しています。ぜひこちらも参考にしてください。
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キャッシュバックと「景品類」の関係
キャッシュバックは、購入者に対して代金の割り戻しをするプロモーション手法です。景表法では、キャッシュバックが「景品類」として扱われるか「値引き」として扱われるかにより、適用されるルールが異なります。「値引き」ではなく「景品類」だと判断された場合、原則として、景品規制の対象となります。
適法なキャッシュバックキャンペーンを企画するためには、景表法の規定を詳細に理解し、違反リスクを最小限に抑えることが大切です。詳しくは、後ほど「景表法に関係するキャッシュバックの3つの種類」で解説します。
キャッシュバックが値引きにあたる場合、景表法の景品規制は適用されない
キャッシュバックが「値引き」として認められる場合、「景品類」に当たらないため、景表法の景品規制は適用されません。値引きとは、自己の供給する商品又は役務の取引において、取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額することです。商品・サービスの購入時に対価を減額する場合や、次回以降に商品・サービスを購入する際に対価を減額する場合が、値引きに該当します。
具体的なキャッシュバックキャンペーンの例を紹介します。
【値引きにあたるキャンペーン事例】
- 顧客が特定の商品を購入した際に、その購入額の5%を後日キャッシュバックとして割戻しを行うキャンペーン
- 商品Aと商品Bのセットを50,000円で購入すると、4,000円がキャッシュバックされるキャンペーン
このような場合、基本的には景品表示法における景品規制の対象外となります。ただし、具体的な条件や文言によって解釈が変わるため、法的に問題ないかどうかをしっかりと確認することが重要です。
もし自社だけでは判断に迷う場合、景表法やキャッシュバックに精通しているプロの業者へ相談してみるのも一つです。
景表法に関係するキャッシュバックの3つの種類
ただし、キャッシュバックキャンペーンは、その提供方法によって値引きに当たらず、景表法の景品規制を受ける場合があります。ここでは、景表法に関連する3つのキャッシュバックの種類と、それぞれの特徴や法令上の注意点を解説します。
種類1一般懸賞の方法で提供するキャッシュバック
一般懸賞とは、商品の購入者や利用者に対して抽選やくじ引きの偶然性を利用して定める方法及び特定の行為の優劣又は正誤によって定める方法で景品類の価額を定めるものです。抽選や競争(じゃんけん大会など)等の懸賞でキャッシュバックを提供する場合には、値引きとは認められず景品類に含まれることとなり、景品規制の対象となります。景品規制については、景表法において一定の限度額が設けられており、取引金額によって限度額が異なります。
懸賞による取引価額 | 景品類限度額 | |
最高額 | 総額 | |
5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
5,000円以上 | 10万円 |
一般懸賞の方法で提供するキャッシュバックには、下記のような例があります。これらはいずれも値引きに当たらないため、景品類限度額を守っていただく必要があります。
一般懸賞で提供するキャッシュバック事例
- 3,000円の商品を購入した顧客の中から、抽選で100名に10,000円のキャッシュバックをプレゼント
- 一定期間内に合計50,000円以上の購入をした顧客を対象に、抽選で50名に10,000円をキャッシュバック
種類2共同懸賞の方法で提供するキャッシュバック
共同懸賞とは、複数の企業が共同で実施する懸賞企画のことです。共同懸賞の方法で提供するキャッシュバックには、一緒にイベントを企画している店舗同士で、商品やサービスを購入した消費者を対象に抽選で景品を提供する方法があります。
共同懸賞の方法で提供するキャッシュバックは、値引きとは認められず景品類に含まれることとなり、景品規制の対象となります。共同懸賞の限度額は、次のとおりです。
景品類限度額 | |
最高額 | 総額 |
取引価額にかかわらず30万円 | 懸賞に係る売上予定総額の3% |
景表法の景品規制に従い、共同懸賞の場合も限度額が設けられています。下記に、共同懸賞で提供するキャッシュバック事例を紹介しますのでご参照ください。
共同懸賞で提供するキャッシュバック事例
- 地域の商店街全体で実施するキャッシュバックキャンペーンで、商店街の複数店舗で購入したレシートを提示すると抽選で100名に1,000円キャッシュバック
- ショッピングモールの専門店でお買い物をした人を対象に、5,000円ごとに1回くじ引きに参加でき、次回使えるお買い物券(500円分)が当たるキャンペーン
種類3総付景品の方法で提供するキャッシュバック
総付景品は、「懸賞」によらないで消費者に提供される景品類のこと です(ベタ付け景品とも呼ばれます)。そして、総付景品で提供するキャッシュバックは、ある商品の購入者に対し、支払った代金について割戻しを行う形式で、通常の販売活動の一環として行われますが、この場合、 基本的には値引きと認められる経済上の利益に該当するため、景品類に含まれず、景品規制は適用されません。 しかし、例えば、割戻しの対象となる取引の金額よりも多い額を提供する場合には、正常な商慣習に照らして値引きと認められる経済上の利益には該当しないため、景品類に含まれ、総付景品の規制の対象となります。
キャッシュバックの適法性を保つための3つのポイント
キャッシュバックキャンペーンを実施する際は、景表法の規制に則り、法令を遵守することが重要です。ここでは、キャッシュバックの適法性を確保するための3つのポイントを解説します。
ポイント1応募条件を明確化して不当表示を防ぐ
景表法では、事業者が、自己の供給する商品又は役務の取引について、キャッシュバックキャンペーンの内容を過大に表示したり、応募条件が不明確な場合等、景品類の取引条件について不当な表示を行う有利誤認等の不当表示を禁止しています。そのため、キャッシュバックキャンペーンを実施する際には、応募に関する事柄を明確にしておくことが大切です。
応募条件で記載すべき内容
- 具体的な条件(購入個数や購入金額・対象商品・購入期間など)
- 手続き方法(公式Webサイトの応募フォームより申し込み、購入レシートを添付したメールで応募など)
- 申請期限(応募締切日や消印有効など)
- キャッシュバック方法(キャッシュバック手段や振り込み・送付の時期など)
不明瞭な条件は消費者の混乱を招くおそれがあるため、事前に詳細な契約内容をしっかりと策定し、消費者に適切な情報を提供しましょう。
ポイント2現金以外のキャッシュバックは扱いに注意する
キャッシュバックは、現金以外の方法でも可能です。ただし、キャッシュバックでも①自他店で使える割引券を付与する場合等、現金以外のキャッシュバックは景品類に含まれ、景品規制が適用される可能性があります。
<自他店で使える割引券>
1:例えば、商品A(1,000円)を10個購入した方全員に現金3,000円のキャッシュバックをする場合は値引きに当たります。しかし、商品A(1,000円)を10個購入した方全員に、自他店舗で使用できる3,000円割引券を提供する場合、同割引券を自店で使用することは、自店が提供する役務の対価の減額にあたり値引きに当たるものの、同割引券を他店で使用することは、自店の提供する役務の対価の減額に当たらず、自店の割引にはならないため、値引きには当たらず、景品類に該当することになります。
2:ただし、仮に景品類に該当する場合であっても、総付景品の方法による場合で、かつ「証票」であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるものは、総付景品の規制の適用除外となります(総付制限告示第2項第2号)。そして、「証票」には、同額の割引をする自他共通割引券が含まれます(総付告示運用基準第4項2号)。
よって、上記の自他店舗で使用できる3,000円の割引券が、自他店舗で同額の割引をする場合には、「証票」に当たり総付景品の規制の適用除外となるため、景品規制の適用はありません。
他方、懸賞については、上記のような総付適用除外はないため、自他店で使える割引券を懸賞の方法で提供する場合は、「景品類」の提供にあたり、景品規制の適用があります。
金券やクーポン・ポイントなどをキャッシュバックとして使用する場合、景品類に該当するかどうかの確認が必要です。
なお、ウォレッチョでは「電子マネーの景表法上の扱いに関するサポート資料」をご用意していますので、下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
ポイント3景品規制の限度額を守る
限度額を守るためには、実施するキャンペーンが 「値引き」 「一般懸賞」 「共同懸賞」 「総付景品」 かを正しく判断する必要があります。 キャッシュバックの限度額は、景品類の種類によってさまざま です。これらの限度額を超えないように、各キャンペーンの計画時に注意を払い、法令違反を避ける必要があります。
一般懸賞・共同懸賞・総付景品での上限金額が気になる方は、再度「景品表示法におけるプレゼントの上限金額」をご確認ください。
キャッシュバックキャンペーンで法令遵守を実現する方法
繰り返しお伝えしてきたように、キャッシュバックキャンペーンを運用する際は法令遵守が欠かせません。そのために活用できるツールやサービスを2つ紹介します。
方法1キャッシュバック事務局代行の利用
キャッシュバック事務局代行を利用すると、キャッシュバックキャンペーンの運営を効率化しながら、法令を遵守できます。
キャッシュバック事務局代行では、専門のチームが景品表示法を含む関連法規に基づいて、キャンペーンの企画から運営・結果分析までを一貫してサポートしてくれます。事務局代行業者が持つ、キャッシュバックに関する豊富な経験や実績を活かし、法律以外の部分でも手厚いサポートが受けられます。
キャッシュバック事務局代行について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
キャッシュバック事務局代行とは?4つのメリット・利用手順など総まとめ
キャッシュバック事務局代行の情報を探している方必見!本記事では、キャッシュバック事務局代行の概要や利用メリット・利用手順などを網羅的に解説します。
方法2法律相談サービスの活用
キャッシュバックキャンペーンの法令遵守を実現するためには、法律相談サービスを活用するのも一つの手です。法律の専門家に相談できるサービスを活用すると、景品表示法に関する最新の情報や適用範囲を具体的に理解しやすくなります。
専門家のアドバイスを受けることで、自社のキャンペーンがどのように法律に適合しているかを確認でき、リスクを最小限に抑えることが可能です。
景表法に違反した場合の罰則
景表法に違反した場合の罰則には、「措置命令」と「課徴金納付命令」があります。
景品規制の限度額に違反した場合は、「措置命令」が取られ、措置命令に関する事項が公表される可能性があります。
また、事業者が、自己の供給する商品又は役務の取引について、キャッシュバックキャンペーンの内容を過大に表示したり、応募条件が不明確な場合等、景品類の取引条件について有利誤認等の不当表示を行った場合も「措置命令」が取られ、不当表示が公表される可能性があります。
加えて、不当表示のうち有利誤認表示の場合、景品規制の場合と異なり、当該事業者に対し課徴金の納付を命じる「課徴金納付命令」も取られる可能性があります。
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措置命令
行政機関が法令に違反した行為を発見した際に、違反者に対してその行為の停止や是正を命じる法的な命令です。この命令は強制力を持ち、違反者は従わなければなりません。
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課徴金納付命令
行政機関が法令違反に対して企業や個人に金銭的な制裁を科すために発出する命令です。違反行為によって得た不当な利益を取り戻し、公正な競争を保つ目的があります。
これらの措置は、経済的損失だけではなく企業の信用を損なうリスクもあります。違反の影響は重大なので、事前にキャッシュバックの種類や適法性を保つためのポイントを把握してからプレゼント企画を行いましょう。
景表法を順守してキャッシュバックキャンペーンを成功させよう
景表法は消費者保護のために設けられた法律で、キャッシュバックキャンペーンを適法に実施するにはその内容を理解することが不可欠です。法令遵守を徹底しながら、効果的なキャンペーンを企画・実施しましょう。
なお、自社でのキャンペーン運営に不安がある場合は、キャッシュバックキャンペーンの実支援績が豊富な専門業者に委託するのがおすすめです。
例えば、BtoC送金サービスの「ウォレッチョ」は法律や経理の側面のサポートがあるだけではなく、下記のとおり幅広い支援が可能です。
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