返金の勘定科目と仕訳例│したとき・されたときを事例別で簡単解説

返金の勘定科目と仕訳例│したとき・されたときを事例別で簡単解説

返金の勘定科目は、自社が「したとき」と「されたとき」で異なります。経理業務に携わる中で、返金勘定科目の選定や仕訳方法に悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。本記事では、返金時に使用する主な勘定科目と具体的な仕訳例を、ケース別にわかりやすく解説します。実務ですぐに活用できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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※本記事は、2025年10月時点の情報をもとに作成し、税理士法人石井会計が監修しました。

返金で使う主な勘定科目・早見表

返金で使う主な勘定科目・早見表

返金処理の勘定科目は返金の理由や状況によっても異なるため、仕訳に適切な判断が求められます。返金時の主な勘定科目を自社が「したとき」と「されたとき」に分けて整理しました。

◎主な返金理由と一般的な勘定科目
返金理由返金をしたとき返金をされたとき
金額の間違い仮受金仮払金
取引のキャンセル前受金前渡金
返品売上・売上値引仕入・仕入値引

次章からはそれぞれの事例について、具体的な勘定科目と仕訳例を用いて解説します。

【返金事例1】取引の金額を間違えた

【返金事例1】取引の金額を間違えた

ここでは、取引先や顧客からの入金金額が請求額を超えていた場合や、逆に自社が多く支払ってしまった場合の返金処理について解説します。このケースは、実務で頻繁に発生する返金パターンの一つです。返金の勘定科目と仕訳例を、具体例で説明します。

◎金額間違いの主な発生原因

金額間違いで返金を「したとき」の勘定科目と仕訳例

請求額を超えて入金があった場合、差額を返金するまでの一般的な勘定科目は「仮受金(かりうけきん)」を使用します。「仮受金」は入金の内容が不明確な場合や、一時的に預かっている金額を記録するための勘定科目です。

≪事例≫ 
請求額50,000円に対して取引先から60,000円が支払われたため、差額10,000円を返金した。

◎販売時
借方貸方
売掛金50,000円売上50,000円
◎入金時
借方貸方
普通預金60,000円売掛金50,000円
仮受金10,000円

「普通預金」の項目は、自社の状況にあわせて適宜置き換えて記載してください。過剰入金分の10,000円を取引先に返金する際は、普通預金から支払います。借方と貸方が相殺されて、残高が0円となります。

◎返金時
借方貸方
仮受金10,000円普通預金10,000円

「仮受金」は、あくまでも一時的な勘定科目です。過剰入金の内容が判明したら速やかに適切な処理を行い、決算時に仮受金の残高が残らないよう注意しましょう。

金額間違いで返金を「されたとき」の勘定科目と仕訳例

取引先に誤って多く支払った場合、差額が返金されるまでの一般的な勘定科目は「仮払金(かりばらいきん)」を使用します。「仮払金」は金額や使途が確定していない経費を、企業が概算で一時的に支払う際の勘定科目です。

≪事例≫ 
50,000円の請求に対し、誤って60,000円を支払ってしまった。後日、差額の10,000円が返金された。

◎支払時
借方貸方
買掛金50,000円普通預金60,000円
仮払金10,000円

「普通預金」の項目は、自社の状況にあわせて適宜置き換えて記載してください。取引先から返金を受けた際は、仮払金を精算します。

◎返金時
借方貸方
普通預金10,000円仮払金10,000円

振込などで手数料が差し引かれて返金される場合は、「支払手数料」を別途計上する必要があるので注意しましょう。

◎手数料が差し引かれて返金されたとき(※手数料を300円と仮定)
借方貸方
普通預金9,700円仮払金10,000円
支払手数料300円

なお、キャッシュバックキャンペーンのような販促施策は効果が大きい反面、反響が大きいため経理処理も複雑になりがちです。特に、キャンペーン価格の反映漏れによる過入金が発生しやすく、返金対応が必要になるケースは少なくありません。「お客様にお金を戻す」という意味でキャッシュバックと返金処理を混同する方もいますが、両者は明らかに異なります。勘定科目や仕訳も異なるため、しっかり区別しておきましょう。

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【返金事例2】取引自体がキャンセルされた

【返金事例2】取引自体がキャンセルされた

ここでは商品の購入やサービスの契約がキャンセルされるなど、取引自体が中止になった場合の返金処理について解説します。「前払いで代金を受け取っていた」「事前に支払いが発生していた」などのケースです。返金の勘定科目と仕訳例を、具体例で解説します。

◎取引キャンセルの主な発生原因 

  • 商品の生産中止・供給停止
  • 天候不良などによるイベントの中止 など

キャンセルで返金を「したとき」の勘定科目と仕訳例

取引がキャンセルされて前払いなどで受け取っていたお金を返金する場合は一般的に、勘定科目の「前受金(まえうけきん)」を使用します。「前受金」は、商品やサービスを提供する前に受け取った代金を記録する勘定科目です。

≪事例≫ 
新規取引で20,000円の前払金を受け取っていたが、取引先の都合でキャンセルとなり、全額を返金することになった。

◎入金時
借方貸方
普通預金20,000円前受金20,000円

「普通預金」の項目は、自社の状況にあわせて適宜置き換えて記載してください。取引先から前払いとして受け取った際は、「前受金」として計上します。この時点ではまだ売上として認識されません。

◎返金時
借方貸方
前受金20,000円普通預金20,000円

取引がキャンセルとなり返金する際は、「前受金」を普通預金から支払います。結果的に、取引が最初からなかったことと同じ状態になります。

キャンセルで返金を「されたとき」の勘定科目と仕訳例

自社が前払いした取引がキャンセルされた場合は一般的に、勘定科目の「前渡金(まえわたしきん)」を使用します。「前渡金」は、商品やサービスを受け取る前に、その代金の一部または全額を支払う際の勘定科目です。

≪事例≫ 
仕入先に商品代金20,000円を前払いしていたが、商品が生産中止となったため取引を中止し、返金された。

◎前払時
借方貸方
前渡金20,000円普通預金20,000円

「普通預金」の項目は、自社の状況にあわせて適宜置き換えて記載してください。取引先から返金を受けた際は、前渡金を精算します。

◎返金時
借方貸方
普通預金20,000円前渡金20,000円

【返金事例3】購入(販売)した商品を返品した(された)

【返金事例3】購入(販売)した商品を返品した(された)

ここでは、商品の品質不良や発注ミスなどにより返品が発生した場合の返金処理について、勘定科目と仕訳例を具体例で解説します。

◎返品の主な発生原因

  • 注文内容と異なる商品の配送
  • イメージ・期待とのズレ、返金保証の実施 など

返品で返金を「したとき」の勘定科目と仕訳例

取引先や顧客からの返品にともなう返金には一般的に、「売上」を直接減額する方法と、勘定科目の「売上値引」を使用する方法の2種類があります。前者は「純額処理」、後者は「総額処理」ともいわれます。どちらの方法でも、販売時の仕訳は通常と変わりません。

≪事例≫ 
販売した30,000円の商品に品質不良が見つかり、顧客から返品を受けて全額を返金した。

◎商品販売時
借方貸方
現金30,000円売上30,000円
◎「売上」で直接減額する方法(純額処理)
借方貸方
売上30,000円現金30,000円

「純額処理」は、「売上」を直接減額することで、返品による「売上の取り消し」を行う方法です。処理がシンプルである一方で、返品の総額を把握しづらくなるというデメリットがあります。

◎「売上値引」を使用する方法(総額処理)
借方貸方
売上値引30,000円現金30,000円

「総額処理」は、「売上値引」という独立した勘定科目を使用する方法です。この方法では損益計算書で総売上高と返品額の両方を明示できるため、経営分析に役立ちます。

純額処理と総額処理は、どちらを選んでも問題ありません。自社の慣例や管理方針に応じて選択しましょう。

返品で返金を「されたとき」の勘定科目と仕訳例

購入した商品を返品して返金を受ける場合、「純額処理」と「総額処理」という2種類の方法があります。処理をシンプルに済ませたい場合は、仕入時の仕訳を逆にする形で「仕入」を直接減額する「純額処理」が一般的です。返品の発生状況を正確に把握して経営改善につなげたい場合は「総額処理」で、勘定科目の「仕入値引」を使用するのがおすすめです。どちらの方法でも、販売時の仕訳は通常と変わりません。

≪事例≫ 
仕入れた12,000円の商品の規格が違っていることが判明し、仕入先に返品して返金を受け取った。

◎購入時
借方貸方
仕入12,000円現金12,000円
◎返金時
借方貸方
現金12,000円仕入
(仕入値引)
12,000円

【その他の事例】特殊なパターンによる返金の勘定科目と仕訳例

【その他の事例】特殊なパターンによる返金の勘定科目と仕訳例

基本的な返金パターン以外にも、実務では判断に迷うケースがあります。ここでは、ありがちだけれども悩みやすい3つの特殊パターンについて解説します。

事例1.期をまたいで返金が発生した場合

前期に計上した取引に対して返金が当期に発生した場合は、当期の取引として仕訳するのが一般的です。原則として、すでに確定している前期の決算を修正することはできません。勘定科目は「売上」を用いて、当期の売上から直接減額します。

≪事例≫ 
前期に80,000円で販売した商品が当期に返品され、全額を返金した。

◎返金時の仕訳
借方貸方
売上80,000円普通預金80,000円

ただし、返金額が高額な場合は、経営判断に重大な影響を与えることが多いため、自己判断は危険です。顧問税理士や会計士などの専門家へ相談することをおすすめします。

事例2.複数回に分けて返金する場合

資金繰りの都合などで返金を複数回に分けて行うケースも、迷いやすい事例です。ここでは取引先との合意のもと、分割で返金する場合の処理方法を解説します。主な仕訳方法には、返金の都度「売上」を減額するパターンと、最初に「未払金」を計上するパターンの2種類があります。

≪事例≫ 
商品販売額80,000円について返品を受けたが、資金繰りの都合で一括返金が難しい。当月に30,000円、残りの50,000円を翌月に返金という条件で取引先と合意した。

◎返金の都度「売上」を減額するパターン
【1回目の返金時】
借方貸方
売上30,000円普通預金30,000円
【2回目の返金時】
借方貸方
売上50,000円普通預金50,000円

「未払金」として処理する場合は、返済義務が確定した時点で全額分の「未払金」を計上します。

◎「未払金」を計上するパターン
【返済義務の確定時】
借方貸方
売上80,000円未払金80,000円
【1回目の返金時】
借方貸方
未払金30,000円普通預金30,000円
【2回目の返金時】
借方貸方
未払金50,000円普通預金50,000円

複数回に分けて返金する場合は、適切な管理が重要です。トラブルを防ぐためにも、返金スケジュールを明文化した覚書、摘要欄への詳細記入など、記録を残すようにしましょう。各回の返金時に通知書を発行して残高を明示したり、完済時には「返金完了確認書」にサインしてもらったりという対策も有効です。

事例3.クレジットカードの支払いに対して返金が発生した場合

クレジットカードで支払った取引のキャンセルなどで返金が発生した場合は、勘定科目の「未払金」を使用するのが一般的です。

≪事例≫ 
クレジットカードで備品8,000円を購入したが、商品に不備があったためキャンセルした。キャンセル手数料400円が差し引かれ、7,600円の返金があった。

◎購入時
借方貸方
消耗品費8,000円未払金8,000円

クレジットカードでの購入は、商品やサービスは受け取りましたが、まだ代金を支払っていません。そのため、現金ではなく勘定科目の「未払金」を用いて計上します。

◎返金時
借方貸方
未払金7,600円消耗品費8,000円
支払手数料400円

クレジットカード明細と会計帳簿の照合も重要です。また、カード会社からの「キャンセル通知」や「返金明細」も忘れずに保管・管理しましょう。

返金の勘定科目と仕訳の注意ポイント

返金の勘定科目と仕訳の注意ポイント

ここでは返金処理を正確に行うために、特に注意すべき2つのポイントについて解説します。

ポイント1.適切な勘定科目を設定する

返金時に使用する勘定科目は、返金の理由や状況に応じて適切に選択しなければなりません。勘定科目と仕訳には、基本となる2つのルールが存在します。

  1. 一般的な勘定科目を設定する
  2. 同じ内容の取引には、同じ勘定科目を使用する

勘定科目は、実は自社で自由に設定できます。「これにしなければならない」という明確な決まりはありません。しかし、外部への報告や担当者の交代を想定すると、広く認知されている標準的な勘定科目を使用するのがおすすめです。

また、過去に同じような取引があった場合は、そのときと同じ科目を使い続けることも重要です。会計慣行では、同じ取引内容には同じ勘定科目の使用が推奨されています。一貫した処理を続けることで財務データの信頼性が高まり、経営分析もスムーズに行えるという利点があります。

ポイント2.消費税も正しく処理する

消費税の処理は、重要でありながら見落とされがちなポイントの一つです。処理を間違えると納税額に誤差が生じるだけでなく、税務調査で指摘されるリスクに直結します。国税庁の指針に基づき返金処理のマニュアルを作成するなど、確実で正確な処理を行いましょう。

例として、現金で販売した11,000円の商品(税抜10,000円、消費税1,000円)が返品され、全額返金したケースで考えます。

◎販売時
借方貸方
現金11,000円売上10,000円
仮受消費税1,000円
◎返金時
借方貸方
売上10,000円現金11,000円
仮受消費税1,000円

この場合は売上を減らすだけでなく、仮受消費税も必ず減らさなければなりません。税抜経理の場合は、本体価格と消費税を分けて記帳しましょう。

しかし、返金処理のすべてが消費税に関係するわけではありません。「課税対象外(不課税)」もしくは「非課税」の取引では、消費税の調整が不要です。「50,000円の請求額に対して60,000円が入金されたため、差額10,000円を返金した」という過入金などが該当します。過入金の返金は、課税の対象となる「対価のやり取り」には該当しないからです。

消費税が課税となる4つの要件などの消費税に対する考え方は、下記の記事でも解説しています。気になる方は、ぜひご覧ください。

キャッシュバックの消費税は課税?不課税?初心者向けに簡単解説

インボイス制度における返金処理の注意点

インボイス制度における返金処理の注意点

2023年10月からは、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が施行されています。返品・値引などで税込1万円以上の返金を行う場合、原則として売手側(適格請求書発行事業者)は「適格返還請求書(返還インボイス)」を交付しなければなりません。

売手が適格返還請求書を交付しないと、買手が課税事業者である場合、正確な仕入税額控除の計算ができなくなる恐れがあります。返金処理の際は、自社の経理フローに返還インボイスの発行手続きも組み込んでおくと安心です。

ただし、返金額が税込1万円未満の場合は、一定の条件を満たせば交付義務が免除される特例措置もあります。少しでも不安があれば、税理士などの専門家に相談しましょう。経理業務には、専門知識に裏打ちされた正確性が求められます。

返金の勘定科目を正しく理解して経理業務の精度を高めよう

返金の勘定科目を正しく理解して経理業務の精度を高めよう

返金の勘定科目は、返金理由や取引状況によって適切に使い分けることが重要です。勘定科目と仕訳例を正しく理解し、一貫した処理を続けることで、経理業務の質がより向上します。

また、返金と似た会計処理として販促施策で実施される「キャッシュバック」があります。キャッシュバックも返金と同様に、実施目的やタイミングによって勘定科目が異なるため、正しい理解が欠かせません。返金・キャッシュバックいずれの場合も、適切な勘定科目の選択と継続的な運用で経理業務の信頼性を高めていきましょう。

なお当サイトでは、キャッシュバックの仕訳や勘定科目を使用シーンごとに具体例でまとめた「税理士監修 まるわかりガイド」のお役立ち資料を無料配布しています。
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