キャッシュバックの勘定科目と仕訳例│基本を早見表・具体例つきで簡単解説

キャッシュバックの勘定科目は、自社が「したとき」「受け取ったとき」で、それぞれ仕訳の方法が異なります。本記事では、キャッシュバックの仕訳について、具体例を交えて解説します。

キャッシュバック施策を検討中の企業の販促担当者様・経理ご担当者様は、ぜひ最後までお読みください。

なお当サイトでは、キャッシュバックの仕組みやメリット、導入の流れなどをまとめた「まるわかりガイド」を無料配布しています。

下記のボタンをクリックのうえ、ダウンロードしてご覧ください!

キャッシュバックのすべてがわかる!

今すぐお役立ち資料ダウンロード

※本記事は、2025年7月時点の情報をもとに作成し、税理士法人石井会計が監修しました

キャッシュバックで使う勘定科目と仕訳とは

キャッシュバックの会計処理を正確に行うためには、適切な勘定科目の選択と仕訳ルールの理解が必要です。

本章ではキャッシュバックで使う勘定科目と仕訳について、基本的なルールを説明します。お急ぎで勘定科目と仕訳例を知りたい方は、【早見表】キャッシュバックの勘定科目と仕訳の基本一覧をご覧ください。

キャッシュバックの勘定科目と仕訳の基本ルール

法人や個人事業主のキャッシュバックは、発生する場面やタイミングにより処理方法が異なります。いずれにしても重要なのは、勘定科目や仕訳のルールを決めて使い続けることです。最初に、前提となる2つのルールについて説明します。

ルール1.一般的な勘定科目を設定する

キャッシュバックの仕訳では、誰が見ても理解しやすい勘定科目を設定しましょう。実は勘定科目には、「これを使わなければならない」という法的な決まりはありません。キャッシュバックキャンペーンの実施などをきっかけに、自社独自の勘定科目を新たに設定するケースもみられます。

しかし、第三者への開示や業務の引継ぎなどを想定すると、一般的な勘定科目を使用するのが無難です。わかりやすい勘定科目にすることで、誰が携わってもスムーズに経理業務を進められます。

ルール2.同じ内容の取引には同じ勘定科目を使用する

部署異動や転職などで経理業務を引き継いだ場合は、すでに独自の勘定科目や仕訳のルールがないか確認しましょう。会計慣行において、取引が同じ場合は同じ勘定科目を使うのがよいとされておりますので、過去と同じ取引内容があれば、基本的には同じ勘定科目を使用するのが望ましいです。

キャッシュバックは集客や売上拡大に効果的な販促施策のため、さまざまなキャンペーンで繰り返し実施されているケースが考えられます。過去の記録を調べて情報を把握し、適切に対応できるようにしておきましょう。

【早見表】キャッシュバックの勘定科目と仕訳の基本一覧

キャッシュバックの仕訳は自社が「したとき」と「受け取ったとき」、「その場でしたとき」と「後日したとき」で、それぞれ使用する勘定科目が異なります。下記に「早見表」として、多くの企業で採用されている一般的な勘定科目と仕訳の例をまとめました。一つの参考としてご覧ください。

キャッシュバックその場後日
自社がしたとき直接「値引」として計上「販売促進費」
または
「広告宣伝費」
自社が受け取ったとき直接「値引」として計上「雑収入」

次章以降で、それぞれを詳しく説明していきます。

キャッシュバックを自社が「したとき」の仕訳例

本章では、消費者にキャッシュバックを実施したときの勘定科目と仕訳について、具体例を交えて説明します。

仕訳例1.キャッシュバックを「その場でした」とき

顧客の商品購入やサービス契約時、その場ですぐキャッシュバックをした場合は、直接「値引」として処理するのがわかりやすく、おすすめです。具体的には、売上からあらかじめキャッシュバック分の金額を差し引いた金額で計上します。

次の例をご覧ください。

新商品のモニター展示会を実施。50,000円の対象商品を購入した消費者に対し、その場で3,000円のキャッシュバックを実施した。

このケースでは、「50,000円(商品代)-3,000円(キャッシュバック)=47,000円(売上)」として、仕訳では「47,000」を計上します。

借方貸方
普通預金47,000円売上47,000円

普通預金」の項目は自社の状況にあわせ、適宜置き換えて記載してください。

仕訳例2.キャッシュバックを「後日した」とき

後日キャッシュバックを実施した場合は、「販売促進費」または「広告宣伝費」として処理するケースが一般的です。どちらの勘定科目を用いても、結果となる数字に変わりはありません。用途や目的、自社のルールなどに従い、適宜選択してください。

販売促進費・取引先や顧客に対して直接的に発生する費用
・売上増加などが主な目的
広告宣伝費・不特定多数の消費者に対して間接的に発生する費用
・宣伝効果などが主な目的

わかりやすいように、仕訳例1と同じ金額の事例を用意しました。

新商品のモニター展示会を実施。50,000円の対象商品を購入した消費者に対し、後日3,000円のキャッシュバックを実施した。

こちらを販売促進のためのキャッシュバックととらえ、「販売促進費」の勘定科目で仕訳した例は、次のとおりです。

■当日(商品を売った日)

借方貸方
普通預金50,000円売上50,000円

■後日(キャッシュバックをした日)

借方貸方
販売促進費3,000円普通預金3,000円

50,000円の売上からキャッシュバック相当分の3,000円を差し引くと、結果的に47,000円になります。

なお、「広告宣伝費」の勘定科目を使用する場合も、処理方法は同様です。「販売促進費」を、そのまま「広告宣伝費」に置き換えてください。

キャッシュバックを自社が「受け取ったとき」の仕訳例

本章では、自社がキャッシュバックを受け取ったときの勘定科目と仕訳について、具体例を交えて説明します

仕訳例1.キャッシュバックを「その場で受け取った」とき

商品購入やサービス契約時に、その場ですぐキャッシュバックを受け取った場合も直接「値引」として処理するのがわかりやすく、おすすめです。商品代やサービス代から、あらかじめキャッシュバック分の金額を差し引いた金額(実質的な支払い金額)で計上します。

加湿器を30,000円で購入し、その場で1,000円のキャッシュバックを受け取った。

「30,000円(商品代)-1,000円(キャッシュバック)=29,000円(実質的な支払い金額)」なので、仕訳では「29,000」と記載します。

ただし、支払い方法によって仕訳が異なるため、ここでは注意が必要です。「現金払い」と「クレジットカード払い」の例でみてみましょう。

現金払いでの仕訳例

現金払いのときの仕訳は、購入時の1回のみです。下記のように処理します。

借方貸方
消耗品費29,000円現金29,000円

クレジットカード払いでの仕訳例

事業用クレジットカード払いのときは、商品が手に入っても、まだ代金が引き落とされていないため「未払金」として計上します。購入時と引き落とし時で、計2回分の処理が必要です。

■購入時

借方貸方
消耗品費29,000円未払金29,000円

■引き落とし時

借方貸方
未払金29,000円普通預金29,000円

キャッシュバックの1,000円を差し引いた29,000円が口座から引き落とされるため、購入時の「消耗品費」も29,000円として処理します。

仕訳例2.キャッシュバックを「後日受け取った」とき

後日キャッシュバックを受け取った場合は、「雑収入」の勘定科目を使用するケースが一般的です。仕訳例1と同様の事例で確認してみましょう。

加湿器を30,000円で購入し、後日1,000円のキャッシュバックを受け取った。

こちらも事業用クレジットカード払いのときは、少々注意が必要です。商品が手に入っても、代金はまだ引き落とされていません。「未払金」として計上するほか、購入時と引き落とし時で、計2回分の処理が必要です。

■購入時

借方貸方
消耗品費30,000円未払金30,000円

■カードの引き落とし時

借方貸方
 未払金30,000円普通預金29,000円
雑収入1,000円

「未払金」は商品代金そのままの30,000円ですが、1,000円のキャッシュバックを「雑収入」として計上することで、引き落とし金額が29,000円になります。

一方で、現金で受け取った場合は下記のように1回で計上します。

借方貸方
現金1,000円雑収入1,000円

銀行口座振込の場合も、同様です。事業用口座に応じて上記の「現金」を「普通預金」にするなど、置き換えて記載してください。

【補足】「雑収入」と「雑所得」の間違いに注意

後日キャッシュバックを受け取った場合、一般的には「雑収入」の勘定科目を使用します。個人事業主の場合には、「雑収入」は「雑所得」と間違いやすいので、計上時には特に注意が必要です。

「雑収入」を「雑所得」と間違えると、課税の計算が異なりますので注意が必要です。

雑収入・事業所得に該当(青色申告特別控除の対象)
・本業の「売上高」に付随する収入
雑所得・事業所得のほか、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得
・雑所得は、青色申告特別控除の対象とならない

税額計算や税務申告についてはそれぞれ異なりますので、個別の相談については税理士にご相談ください。

キャッシュバックの多様な受け取り方法|一番人気は「現金」

キャッシュバックは現金のみならず、多様な方法で受け取れます。最近は電子マネーでの還元も増えてきました。送金サービスやデジタルギフトの普及により、送付から受け取りまでの手続きも負担なくスムーズになっています。

現在、主に活用されているキャッシュバックの受け取り方法には、次のような種類があります。

方法種類特徴
ATM受け取り現金・ATMやコンビニのレジで受け取れる
・送金サービス導入の手続きや利用料が必要
銀行口座振込現金・指定の銀行口座に直接振り込まれる
・ネットバンキングの契約、口座情報の取得や振込手数料が必要
郵便為替
現金書留
現金・郵便為替や現金書留で受け取れる
・住所情報の取得、発送作業が必要
電子マネーへの
チャージ
電子マネー・電子マネー残高へチャージされる
・利用していない層への訴求力が弱い
ポイント還元ポイント・企業独自のポイントで受け取れる
・利用先が制限される
商品券
ギフト券
金券・手渡しや郵送などで受け取れる
・ニーズに合っていれば利用しやすいが、利用先が限定される

なかでも、消費者に人気があるのは「現金」です。現金は直接的な価値を実感できるうえに汎用性が高く、受け取った瞬間から自由に使えるという魅力があります。

株式会社スコープが実施した調査でも、「現金の口座振り込み」「現金に換えられる電子マネーの受け取り」が消費者の人気を集めました。この調査結果を詳しく見たい方は、下記の記事をご覧ください。

消費者がキャッシュバックキャンペーンで受取りたいもの・理想の受取り方法とは?

経理の側面でも支援します!「ウォレッチョ」のキャッシュバック安心サポート

キャッシュバックは売上拡大などにつながる、メリットの大きい販促手法です。実施効果が高い一方で、慣れないうちは企業や担当者に負担がかかることが多々あります。特定期間内での取引が集中するなか、迅速かつ正確な会計処理を行うには、経理面でのサポートも欠かせません。

「ウォレッチョ」は、キャッシュバックキャンペーンや全額返金、現金プレゼントなどで利用できるBtoC送金サービスです。企業は消費者にURLを配布し、消費者はその通知されたURLをクリックするだけの、極めてシンプルなシステムです。企業と消費者の双方にとって負担が少なく、手軽な操作性が人気を集めています。

ウォレッチョの豊富なサポートメニュー

「ウォレッチョ」は、キャッシュバックに精通した経験豊富な専門スタッフが、販売促進の企画から運用までをトータルで支援します。ワンストップ対応で、経理の側面からのサポートも充実。多種多様な業種、商品・サービスでの支援実績が豊富です。

詳しくは、下記のボタンからサービス資料をダウンロードのうえご確認ください!

ATMからの現金受け取り・電子マネーなど5つの送金方法に対応!

今すぐサービス資料ダウンロード

こちらの記事も併せて
よく読まれています

一覧へ戻る